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一般的な知識として、ギターの音と形ぐらいは誰でも知っていることでしょう。ひょうたんみたいなくびれのある形に、棒がのびていて、弦が張ってある。張ってある弦の高いところを押さえれば高い音がでる。弦の数は六本ぐらい。でも、クラシックとフォークの違いは? とか、意外に知られていないこともあるようなので、ここで一度書いてみようかなーっと思いました。
まず、です。クラシックギターは張ってある弦がナイロンなんです。エレキやフォーク(アコースティックギターとも)は鉄の弦を張ります。鉄の弦というと、なんだかメタルでヘビーでバイオレンスでそれはそれはものすごいことのように感じるかもしれないけど、テンション(張り)は強いものから弱いものまでいろいろあって、弱いものを使っているぶんにはさほどでもないです。バイオリンなども鉄弦をつかってるし、言わずもがなですがピアノも鉄弦(ビアノ線)だし、鉄弦というのは弦楽器的に最もポピュラーな素材と言えましょう。
もちろんベートーベンの時代から精度高い鉄線が作られていたわけではないはずで、かつては楽器の弦と言えば小麦粉をねってのばしたものが主流だったのですということはないけど、羊の腸から作ったガット弦が主流だったようです。クラシックギターやバロックバイオリンなどでは、今でもガット弦が売られていますね。しかしナイロン弦の数倍以上の価格で、寿命も短いらしく、僕は使ったことありませんけど。
そんな「羊たちの腸弦」に替わって20世紀の弦楽器を席巻したのが、鉄弦とナイロン弦なのであります。鉄を精度高く作り上げられるようになったのは、やはり人類の工業進化のたまものなのでしょう。そして同じように工業進化のたまものとして、石油から作られるナイロン弦があったわけです。 いつ頃からナイロン弦が存在するのかは、僕には定かでないけど、日本では戦後しばらくたってから一般化したようです。ちなみに釣り糸もナイロンですから、人類的には早くから大量のニーズがあったことは間違いないのです。
そんなこんなで、ナイロン弦もそんなに古い話ではないけど、ギターそのものも実はそれほど歴史がある楽器というわけではないようです。もちろん弦を張って指ではじくという楽器は大昔から存在しているけど、今のようなシェイプのギターが誕生したのは、20世紀初頭のトーレスという制作家からと言われています。バイオリンが18世紀で完成していたのに比べると、やっぱずいぶん新しいですよね。
ここで、ものすごくマニアックな話を少ししてしまえば、今のギターの前身「19世紀ギター」という趣味の世界が、コンニチの日本でも存在ていします。今のギターより細くて小ぶりな19世紀ギターを、日常的に使ってしまおうというチャレンジ。当時の古い楽器を手に入れて使うのもアリだけど、新しく作られたコピー品を使用する人もいて、「19世紀ギターは弾きやすくて、実は音量も十分ある」と評価する人は多いのですが・・・、正直、僕は20世紀への進化を喜びたい人です。だって・・・19世紀ギターって、ポロンポロン鳴るウクレレを大きくしたみたいな音なんだもーん。レレレのおじさんの気分になっちゃうんだもーん。「おいおい、おまえはウクレレはダメなのか、レレレのおじさんではダメなのかぁ」って言い寄られても困っちゃいますけど。
ちなみにウクレレは4本弦で、バイオリンと同じ、調弦も同じだそうです。大きさもバイオリンと似ているし、意外に共通しているのかも。しかしバイオリン=綺麗なおねえさん、ウクレレ=高木ブー、というイメージはどーよ。「おいおい、おまえは高木ブーはダメなのか、綺麗なおねえさんでないとダメなのかぁ」って、ここでさらに原則論的に言い寄られても困っちゃいますけど。
そんなことはさておき、ソフトで指にやさしいナイロン弦を張ったギターは、鉄弦の楽器とは別の良さを活かして進化を続けてきました。
レパートリーもどんどん広がってきています。もともとは「スパニッシュギター」とも言うとおり、スペイン産の曲が多かったのです。「禁じられた遊び」や「アルハンブラの想い出」のような。それはそれで今でも十分アリですけど、なんか暗いんですよね。シェリー酒みたいな渋い抒情というか。僕なんかが学生の頃は「クラシックギターやってます」と言うと「うぇー、くれー」って応えられちゃったものです。そうなのだ。あの「うえー、くれー」といわれた一言は、いまでもトラウマ。暗いかもしれないけどさー、そういう単純な問題じゃないのに、うぐっ・・・。
ちなみにスペインの「フラメンコギター」というのは、似て異なるものとして存在しています。形はほぼ同じなんですけど、サクサクと小気味よく鳴る材質と構造で、見た目もクラシックギターとはちがって全体が黄色っぽい。「フラメンコはかっこいい」と言う人もいたけど、僕は自分の部屋でジャラジャラ情念演奏の練習するのは恥ずかしくてやってません、すみません。
一方、スペイン以外のヨーロッパでは、バロック音楽などでリュートが使われていました。もともとあったギター系の楽器で、琵琶みたいな形のリュートは、弦の数とかはギターと大きく違いますけど、基本的には身内みたいなものです。リュート用に作曲された作品、ホント「クラシック」な感じの曲は、今でもギターのメインレパートリーです。
村治佳織のベストセラーアルバム「グリーンスリーブス」が、まさにそういう古い曲を集めたアルバムでした。優雅な貴族の館で、香り高い紅茶とともに耳を傾ける素敵な世界・・・。それを聞いて「スゲー感動する」みたいなのとはずいぶん違いますけど、これはこれでなかなか良い感じなんですよ。普通の室内楽CDでは、繊細さを極めたガチガチのバロック演奏などもありますけど、そういう敷居の高いものとは違って、日本人の若い子が活き活きと表情タップリにソロ演奏するというのは、地元の駅ビルに入っている高級ブティックみたいなもので身近な感じがすごくいいです。
ちなみにクラシックの大御所作曲家たち、ベートーベンやモーツアルトらは、ギター曲は残していません。彼らのピアノ曲をギター用にアレンジして弾くというパターンはなきにしもあらずだけど、だったらピアノの方がダイナミックで聴いていて面白い。ギターやリュートは音量が小さいので、ピアノやバイオリンが楽器として確立した時代には、すでにメインストリームから外され気味なのでした。
そんななかでも、バッハだけはたくさん。バッハはリュート曲も多数書いているし、無伴奏バイオリンや無伴奏チェロ用に書かれた曲をギターにアレンジして弾くのも悪くない。バッハは現代でもクラシックギターレパートリーのホームラン王です。(どうしてもバッハと聴くとナボナを思い出してしまうのは自分だけだろうか)
さて、渋いスペインものと、優雅なヨーロッパ古典もの、そのへんがもともとのギターの得意分野なのでした。が、最近はこれにかなりセクシーでエッチなコスプレが加わって、ということじゃなくてオシャレなヒューマンタッチのレパートリーなどが増えつつあります。
メジャーなところではアール・クルーのスムース・ジャズは有名ですよね。ソロ曲ではないので我々がレパートリーにするのは難しいと思いますけど、「ナイロン弦の素敵な響き」なーんて広告コピーがあると、そーかー、ナイロン弦の響きって素敵なんだぁ、って、まるで自分の子供が東大に合格した親のような喜びを感じたりして。
村治佳織は一頃トヨタ車のCMにでていましたが、そこで流れていたのは「サンバースト」というノリのいいアメリカの現代作品。アメリカに限らないけど、ロックやジャズを吸収したギタリストたちがナイロン弦ギター用に書いた作品というのが、新鮮でオシャレでアタシはいいと思うんですよ。ハリウッドの恋愛映画でも、さあ、いよいよ二人の誤解が解けて愛しあうシーン・・・となると必ずと言っていいほど聞こえるのがクラシックギターの甘いBGM。やさしくて、思いやりがあって、こじんまりしてて、少し古典っぽい上品さもあって。顔を寄せ合い、深いキスから、ベッドに倒れて「あ〜」と・・・♪
そんなことはさておき、最近では僕が「クラシックギターやってます」と言っても「クラシックギター? うぇー、くれー」とあざけられなくなったのは大変に素晴らしいことであります。 実は、予感はあったんです。かつて英会話学校に通っていたとき、オーストラリアや英国から来ている人にクラシックギターやってると伝えると、「おお、優雅なやつ!?」と一目置かれるありがたさ。アメリカに旅行に行って、知り合いの人のところでバッハなど弾かせてもらっても、上手くはなくても意外なほどしっかり尊敬の眼差し。言葉はうまくしゃべれなくても、音楽を通して気持ちは通じ合えるのです。そして、同じ通じ合うのでも、やはりヘビメタやパンクとは違うわけっす。上品なんです。「クラシックギターが趣味です」と英会話学校の教師に伝えて、レッスンのあとに喫煙所でタバコすってると、それでけで「え!?」って。「あなた、クラシックギターやる人でしょ? タバコ吸うの?」みたいな。ちょっとだけ嬉しい誤解かも。(タバコはもうやめましたが)
「ふふふ、僕って暗いんじゃないんだ、優雅だったんだ。日本ではゼンゼン理解されませんけどー」って、誰にも言えない自己完結的で自己中心派の自己満足してみたり。
ここで開き直って考えるに、クラシックギターの楽器としての長所はなんでしょう?
まず第一に、僕みたいな庶民にとっては「音が小さい」というのが長所なのです。つまり練習場所を選ばないから。ピアノやバイオリンならば音量タップリでライブでは説得力あっていいけれど、自宅で気軽に練習というわけにはいかないですよね。トランペットや大太鼓となればなおさらです。・・・って、大太鼓を自宅で練習する人なんていないよハハハ、と思うでしょ? ところが!! 我々が暮らすこの地球上にはドラムスってものが存在していまして、あれを親が子供に買ってあげてしまった家のすさまじいさったら、これはもう知る人ぞ知るすんごい状況なのです。マジで「話し声が聞こえない」んだから。道路工事のアスファルトカッターと共に生活するようなもんですよあれ。それに比べたら、あなた、クラシックギターの音の、なんと小さく、ひかえめで、謙虚なことか。まるで春風にただようケセランパサランみたいなものじゃありませんかぁ。
そしてもう一つの大きな長所は、メロディと伴奏を一人でやれること。よく考えていただきたいのですが、ほとんどの楽器はどちらかなのです。ピアノは両方できそうだけど、しかしメロディにビブラートまではかけられませんよね。一回キーを叩いたら、あとはどこまでのばすかっていうだけ。バイオリンやフルートなどは逆にメロディ勝負。歌うように演奏することはできるけど、伴奏はちょっと難しい。強いて言えばアコーディオン(バンドネオン?)は両方できますが、ただしメロディの歌い方に合わせて伴奏の和音も抑揚ついてしまうのが良し悪し。
ギターは弦を指で押さえてはじくという原始的な構造なので、旋律にビブラートをかけて歌うこともある程度はできるし、六本弦があるので伴奏も自分で付けてしまえる。つまりメロディも伴奏も可能な自己完結型のソロ楽器なんです。一人でステージに上がるのがあたりまえの大人の楽器なのです。ボウヤじゃないのです。そう、単独行動できないザクとは違うのです、ザクとは!!
というわけで、音量ひかえめ、練習場所を選ばず、自己完結型ソロ楽器となれば、クラシックギターこそ、マイペースな感じで音楽を楽しみたい善良な日本国民に最もおすすめの楽器といえましょう。さらに、本日は特別に高級ハードケースと、クリーナークロス、ピックアップマイク付き電子チューナー、鉄製爪磨き、さらにさらに村治佳織さん愛用のプロアルテ弦までおつけして、なんとビックリ、この価格!! もちろん送料・金利・手数料はすべて当社負担・・・ってジャパネットタカタじゃないんだから販売はしませんけど、写真で見ると備品関係はこんな感じっす。
さあ、みんなも挑戦してみよう!!(←文章の主旨ずれてますけど)
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